それでも美しい花を咲かせたものたちを、心から畏敬する。
小さな庭には小さな花がよい、と至極単純な発想で、ミニ・チューリップ(原種系)を植えた。チューリップが故郷の中国天山山脈を出て中近東に拡がったいきさつは知らないが、私の幼い頃(大昔)すでに、チューリップは幼児の絵の定番だったほど日本でもポピュラーな花だった。聖書で「シャロンのバラ」と呼ばれ、11世紀のペルシャの詩人が酒と美姫とともに愛し、トルコではスルタンも庶民も熱愛したチューリップである。いつかチューリップ模様のトルコかペルシャの絨毯がほしいものだ、と思う。