我家の庭師の相棒がいなくなって、はたと困った。伸び放題の樹をどうやってお行儀よくさせよう。苦慮の果て、「シルバー人材センター」を思いついた。依頼に応じて現れたシルバーさん2人。たちまち7本の樹を無事に伐採。なにしろシルバーさんだから、万一に備えての薬箱も救急車呼び出しの用意もいらなくて、ほっとした。 伐採したのはどれも家族の歴史を物語る大切な樹であるが、「色即是空」、機能を終えた家族が解体して行く儀式の捧げものとしよう。 楠、びわ、なぎ、きょうちくとう、かし、すもも、楓
楠の切り株
ひなげし〈虞美人草〉
力は山を抜き、気は世をおおうほどだが、知恵には少々欠けていたらしい項羽が劉邦に敗れ、ついには最愛の虞美人を自分の手で殺さねばならなかった。「虞ャ虞ャなんじを如何にせん」と大泣き。その虞美人、たちまち赤いひなげしに転生したという。不幸な虞美人のためにひなげしを植えようとカタログで探す。「オリエンタル・ポピー」。なんだか少し違うような気がしたが、オリエンタルなら虞美人のように可憐だろう。 葉が育つ。その長さ30センチをこえる。やがて鶏の卵ほどもある蕾をつける。不安になる。そして咲いた花は径15センチ。昔のハリウッド映画のグラマー女優を見るようだ。
白い花とエンゼル 「用」の器を作るのにあきると、ろくろを離れて「無用」のものを手びねりする。天使の楽隊を作り、白い花のかげで演奏させてみた。曲目はもちろんモーツァルト。オーボエがないけれど、「グラン・パルティータ」。
白い花とエンゼル
「用」の器を作るのにあきると、ろくろを離れて「無用」のものを手びねりする。天使の楽隊を作り、白い花のかげで演奏させてみた。曲目はもちろんモーツァルト。オーボエがないけれど、「グラン・パルティータ」。
壁紙は、お正月の「花運勢」のおみくじの種から咲いた正体不明の「なでしこ」の花です。