12月。暖冬の夢破れて、師走寒波。あわててメダカの水鉢に保温用のビニールをまく。11月末まで楽しんだ夕顔も大きな種を残して枯れた。一本だけのイチョウがようやく黄葉し、秋の風情が美しいが、夜風の音を聞くとため息がでる。「また掃除か」。
落葉に秋色をめでる風情など、今は昔、朝早くご近所中の道路を掃きながら、何だか出来の悪い、だがいとして子供たちのしりぬぐいをしてまわっているような気分になる。

庭に花があれば、当然虫たちも住みつく。カマキリなど世代を重ねながら、もう30年来の古馴染みだが、毎年一期一会の忘れがたい珍客もある。
この秋、フジバカマが隆盛をきわめた。この花はとりわけ多くのチョウを愛されたが、そこにアサギマダラをみつけた時は、わが目を疑った。以前、水絵のような深く美しいアサギ色が、深い山の緑を背景にユラユラ舞う優雅な姿を見たときの感動は、今も忘れない。その山のチョウが海辺の庭を訪れるとは。
それから2週間ほどアサギマダラは毎日フジバカマのレストランにやってきた。時には2つ、時には3つ。どこへ渡っていったのだろう。