庭にも毎年なじみの植物がいるが、はじめての植物を迎えるのも楽しい。昨年の夏には立葵を育てた。昔、ごぼうの花とガセネタを教えられ、長い間そう信じていたという因縁の花である。近頃めったに見なくなったと思っていたが、なんとなく郷愁をそそる。園芸業界もそのように思ったのか、苗を売っていたので買って育てた。すくすく育って身長を伸ばし、下から花をつけ始めると、門前を通る中年以降の人々が足をとめて「珍しい」と。立葵はなおも育って、やがて塀をこえた。下から見ているとジャックと豆の木のような気持ちになる。

なじみの植物、といえば、数年前にわざわざネットで球根を取り寄せてカラスウリを育てた。雄花はきれいに咲いて感激したが、雌花が咲かず、実がならない。そのわりには猛烈にはびこる。二年待って、怒って、球根を掘り起こして捨ててしましった。ところが昨年秋、気がつくと、小さい実があんずの枝からぶらさがっている。どうも残っていた球根からつるがあんずに伸び上がり、こっそり雄花・雌花が咲いて、こっそり蛾が花粉ほ運び、実をつけたらしい。驚いた。秋になり、小さいけれど、お日様色に色づき、割ったら打ち出の小槌のような種も二つほどころがりでた。幸運を祈って振ってみた。残り福のような気がする。