シッポは杏の樹に生い茂ったカラスウリの向こうからやってきた。痩せて目ばかり大きい女の子で、ノラ暮らしなのに妙に人なつこい。「ニヤヤヤヤヤン」というので、ご飯をあげたら、庭に通ってくるようになった。カラスウリの実が大きくなり、赤く色づくに従って、庭猫シッポもちょっとだけふっくらした。
近所には黒い大きなのやら、灰色やら、こわいノラネコガたくさんいるので、まお猫脱走防止用に網を張り巡らしたわが家のベランダは、安心できる場所らしい。シッポは軽いので、ぴょんとテスリをこえてやってくる。遊びたい年頃なので、赤いベランダばきと取っ組み合い、バラバラにしてしまった。まお猫とは家の内・外で、平和にニラメッコしている。この平和はいつまで続くのか。
カラスウリの実からは、小さな小さな打ち出の小槌(シジミ貝の干したのみたいだが)がたくさんでてきた。幸運を祈りたい。