まおの自由意志

毎朝5時頃、ぼくは階段を駆け下りて、ドアの前に座る。庭の散策をしようと、里親父さんを待つのだ。ところがいつまで待っても現れない。代わりに里親母さんが散歩しようねという。ぼくは納得できない。断固拒否する。里親父さんは可能なかぎり、つまり散歩ひもの範囲内で、ぼくの自由意志を尊重してくれたが、里親母さんは違う。すぐに嫌がるぼくを門の外に連れ出そうとするのだ。
まずぼくの自由意志を尊重してもらいたい。温和な室内猫であるぼくとしては、
1 庭ではひもなし
2 いつでも出入り自由
3 床下も自由にもぐり込む
4 外から帰っても足の裏を拭いたりしない
ささやかな要求でしょ。
ある日、玄関のドアか開いていた。しめしめ、里親母さんは向こうを向いてる。
こっそり顔を出して外をうかがう。
見つかっちゃった。
「外に出たいのなら、ひもつけなくちゃ」
ひもつきの外出など面白くない。こわい。外に連れ出される。
そうだ、戻って昼寝しよう。
ひもがじゃまだ。ひっくり返って、足をばたばたやってみた。ひもはぼくの首輪と玄関のドアノブとの間で一直線にのびている。

うにうにうにうにー

「散歩したくないのなら、玄関からのぞかないの」
里親母さんは、ぼくの気持ちがぜんぜんわかっちゃないのだ。