夏の思い出

楽しかった思い出もある。この夏、ぼくはまっ白の美しい猫と知り合った。もちろん網戸ごしに見つめ合うだけのプラトニックな関係だけど。今日も会いに来てくれたぼくのジュリエット。きみにあげられるには、今朝ベランダでとったアゲハ蝶ぐらいだが。

早朝のお散歩も楽しい。ぼくのおかげで早起きの美徳を知った同居人と、庭のなか、門外5メートルほど先まで歩く。大阪のお母さんが肥満は万病のもとと心配しているから、せいぜい運動しよう。今はバッタやコオロギがたくさんいるので、はりきる。

 

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                       赤虎組二年 まお

この夏はあつかった。ぼくはもう、しっぽからバターのようにとけちゃうかと思いました。ぼくの家族(男)もこしみのひとつでころがっていましたが、ぼくの毛皮じごくをかわいそうに思って、「猫用ひんやりシート」をだしてくれました。でも、ぼくはあんまりきにいりませんでした。ぼくの前にいた犬のコロ君は、夏、からだ中の毛をかられたそうです。なんてひどいことでしょう。

いくらぼくがドロンとひらたくなっていたからといって、暑気あたりでアホになったかと、「保田先生(ぼくの主治医)に診てもらおうか」とオロオロ相談していたとは、人間とはなんとアサハカなのか。ぼくは家のなかでつめたい場所はどこかという自由研究を、いっしょうけんめいやっていたというのに。ここではその結果を発表したいと思います。

1 浴槽のなか

やみくもにとびこむと、水があってあぶない。ずぶぬれで、命がけの脱出をしてきたというのに、同居人たちは笑いころげていた(怒)。

2 洗濯機のなか

なかの金属のつめたい感触がすばらしい。でも、せまいのと、すぐあつくなるのがよくない点です。みつかるとしかられる。

3 玄関タイル

ねそべると、ひんやりきもちいい。でもずぼらな同居人がほったらかしの割れたタイルの上はさけること。

4 階段のステップ

はらばいでステップを抱きしめ、あつくなったら次へ行く。ステップはなぜか13段ですが、ぼくは気にしません。ただ保護色なので、時々ふみつけられます。夜間はとくにキケン。

5 冷房された部屋

入り口に頭だけ入れる。脳細胞は大事なのでひやしますが、しっぽの先は冷え症なので。

全世界の猫のおともだち、来年の参こうにしてね。


ようやく九月になり、まおの受難の夏はおわりました。そこで、一首。

秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風がひんやり猫よみがえる