2006年 6歳の誕生日 付録「のみ取り物語」



3月22日、ぼくは満6歳になった。「遙けくも来つるものかな」としみじみ感動する。人間と同居して、おおむね満足しているが、これで彼らの善意あふれるおせっかいさえさえなければね。サイの角のごとく、ぼくは孤高の生を生きたいのだ。夜だけつい、人間の布団の上で寝たくなるのが残念。
誕生日当日。大はしゃぎの同居人たちがケーキ(人間用)に蝋燭を立てたり、庭の花でつくった妙な花冠をぼくの頭に押しつけたりするのを、ぼくは6歳の猫の分別をもって我慢する。生クリームを少しなめてみたが、うまくない。プレゼントは巾広のリボンと鶏肋窯製のカリカリ入れ。里親が新体操のつもりかリボンほ振り回すのをながめていてアホウらしくなった。リボンがよじれてひもになってしまう。それにカリカリ入れのミミズを取り合いするひよこの絵柄ってどうよ。ぼくならケンカするなら、まず同居人の腕にしっかと食いついてケリをいれる。必殺猫キックで必勝だ。

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