冬の野鳥
アネハヅルは中国に棲み、冬インドに渡る。中印国境紛争などツルの知ったことではない。ある高名な全国紙のコラムが、韓国で大量発生し、ついで山口県で発生した鳥インフルエンザについて、渡り鳥という「越境者」がウイルスを運んだという説を紹介している。そうかもしれない。が、渡り鳥からすれば、「越境者」という表現は理不尽だ。
アネハヅルのインドへの渡りはヒマラヤを越える。白雪のヒマラヤの青い空高く、見事なV字を組んで飛行するツルの映像には涙がでるほど感動した。何と優美でりりしい生き方だろう。人間の作った金属の鳥などとうてい及ばない。そのヒマラヤにケシが咲くという。改良された園芸種だが、高価格も何のそのたちまち買い込んだ。ノヴァーリス以来、青い花にはどうも思い入れが先立ってしまう。
アネハヅルをこの日本で見ることはできないが、小さな庭にも冬の野鳥が来る。彼らのため、20年来バードフィーダーを設置している。周辺の土地開発で野鳥も少なくなったが、ジョウビタキやメジロは来る。ムクドリは無礼者で、サクラ草や水仙に汚物を落とし、耳ざわりな声で騒ぐ。
かって北米の空を暗くするほど大量にいたリョコウバトを絶滅させてしまった人々が、今クジラやイルカの命は大切に保護するが、テロリストは殺しつくさねばならないという。よくわからない精神構造だ。
とにかくこの庭では生命を軽重することなく、大慈大悲の心で、ムクドリも受け入れよう。掃除をすればいいのです。ナメクジですか。ウィンターコスモスの花びらをかじってしまったものへの慈悲は難しい。こっそりナメクジ退治の薬をまく。

ヒマラヤの青いケシになる予定


バードフィーダーは赤い屋根

 橙が実る    猫バスに乗るは猫の草
壁紙は庭の赤いデイジーです。